こんにちは。 トム・ボニーフィールドです。 TIで技術者として高電圧絶縁を 担当しています。 TIの高電圧ラボの1つに所属しています。 このビデオは、高電圧に対する強化絶縁の 品質と信頼性を取り上げるビデオ・シリーズの 1本目です。 今回は高電圧の絶縁構造に 注目します。 TIの強化絶縁技術は、複数の厚膜二酸化 ケイ素(SiO2)コンデンサを 直列接続する形で実現しています。 各チャネルは、両方のダイで高電圧絶縁型コンデンサを 使用しています。 左上の断面図でわかるように、 左側にダイが1個、右側にもダイが1個あり、 いずれも高電圧コンデンサを 搭載しています。 これらのコンデンサは直列接続されています。 組み合わせた絶縁型コンデンサの厚さは、 21μmを上回ります。 右上の図に示すように、データは絶縁バリアを またぐ形で伝送されます。 流入した信号は変調され、コンデンサの差動ペアの 一部であるバリアを横断し、 復調されて出力されます。 これと同じ絶縁型通信パスを使用して、デジタル・ アイソレータ、絶縁型リンク、A/Dコンバータ、 絶縁型アンプ、絶縁型ゲート・ドライバを 実現することができます。 この構造によって非常に高い絶縁機能を実現でき、 12.8kVのサージ電圧定格、8kVのピーク過渡過電圧、 1.5kVrmsの動作電圧に対応します。 次に、構造を詳細に見ていきます。 上位レベルから説明します。 ここに表示しているのは、16ピンSOICパッケージのX線画像です。 このパッケージは幅が広く、画像の上から下までの 沿面距離、すなわち高さは8mmです。 通常は左右間の 長さを言います。 パッケージ内部には、ダイ・パッド間に 6μmを超える大きな間隔があいています。 ダイ・パット上には片側に1個ずつ、合計2個のダイがあります。 ご覧のように、各ダイには複数の高電圧コンデンサがあります。 これは3チャネル・アイソレータで、それぞれに 6個のコンデンサが見えます。 では、絶縁型コンデンサを詳しく見ていきます。 強化絶縁バリアは 各ダイに1個ずつある合計2個のコンデンサを直列接続する形で 構成されています。 各コンデンサは、厚膜二酸化ケイ素コンデンサを 使用した誘電体です。 この誘電体は複数の層で形成されています。 各層は、業界で毎年数十億個製造されているICの 代表的な製造方法と同じ手法を使用しています。 各層は堆積した二酸化ケイ素であり、化学蒸着により 堆積されています。 化学蒸着は二酸化ケイ素膜を構築する原子分子堆積 です。 ある層の上部に次の層を追加する前に、 化学的な機械研磨によって最初の層を研磨して平らにし、 層間の最適な接着を実現します。 その結果、合計で10.5μmを超える非常に厚い 二酸化ケイ素コンデンサが形成され、 非常に高い絶縁電圧能力が実現します。 この特性に対する試験として最適なのはブレークダウン電圧試験、すなわち 電圧ランプ(上昇)からブレークダウンまでの試験です。 この試験では、左側から右側に向かって AC高電圧ストレスを印加します。 1秒あたり1kVrmsのペースでこのストレスを上昇させ、 ブレークダウンが発生するまで続けます。 ブレークダウンが発生した時点で、ブレークダウン電圧を記録します。 多数のユニットに対してこの試験を繰り返します。 これらのユニットに関する統計値から、定格 に対するこの技術の優れた性能を 評価することができます。 このグラフは、113個のロットから抽出した 1,130ユニットに対して行ったランプからブレークダウンまでの 試験の結果を示すヒストグラムです。 ご覧のように、平均ブレークダウン電圧は 14kVrmsを超えています。 これは、5.7kVrmsという絶縁定格を大きく上回っています。 どれほど高いかを判定するための適切な 方法として、CPKという指標を使用します。 CPKが1である場合、そのデータは絶縁要件を 3σ(シグマ)上回っています。 CPKが2である場合、そのデータは絶縁定格を 6σ(シグマ)上回っています。 ご覧のように、このデータではCPKが6を超えています。 製造試験の条件でこのCPKを測定すると、その値は 絶縁定格を20%上回ります。 このデータは、非常に高い電圧絶縁性能を示しています。 TIの強化絶縁型製品ファミリは、 強化絶縁要件を上回る高電圧能力を 達成しています。 高い マージンを確保できる高電圧絶縁の優れた品質を、 統計的な試験方法によって示しました。 詳細についてはti.com/isolationで、 高電圧信号絶縁の品質と信頼性の向上方法に関する ホワイト・ペーパーをご覧ください。 ありがとうございました。